タイガース史上最高のエースと言えば、やはり村山実さんということになるだろう。その後も小山さん、江夏豊、ジャイアンツから移籍してきた小林繁など、タイガース史上に燦然と輝く大エースという人達がいた。


しかし、自分が物心ついてからは暗黒時代が長く、球史に名を刻めるようなタイガースのエースはなかなかいなかった。
エースには、球団が指名する者、実績を挙げて勝ち取る者と2パターンあると思うが、暗黒時代のタイガースにおいてはとにかくどちらのパターンにせよ一人の者が長続きすることがなく、年替わりでエースが誕生していたような気がする。
そんな輝かしく儚いタイガースのエース達を振り返ります。

85〜86年
池田 親興
83年ドラフト2位。背番号18番。入団二年目、優勝イヤーの85年に開幕投手となりエース扱いを受けるが、9勝(6敗防御率4.45)しかできず、しかもこれが自己最高の年間勝ち数となった(つまり二桁勝利したことがない)。86年以降は「いちおうローテには入っています」レベルの投手に成り下がる。
しかし日本シリーズ初戦での完封劇は永遠にタイガースファンの記憶に刻まれているハズ。
因みに90年オフにホークスへ移籍してからはリリーバーとしてそこそこの成績を残しました。

87〜90年
マット・キーオ
第一期暗黒時代の大エース。強い時期に在籍すれば間違いなく球史に名を刻めたであろう悲運の助っ人。来日一年目から開幕投手を務めるなど当時のタイガースにおいてはずば抜けた存在だった。年間50勝すればいいほうだった当時のチーム状況において11勝、12勝、15勝と奇跡かと思える程の勝ち星を挙げ、ファンを喜ばせた。4年目は故障で出遅れて7勝に終わり、解雇された。

91〜92年
野田 浩司(92年はマイク仲田幸司説もあり)
88年ドラフト1位。キーオの退団、池田のトレードを受け、91年に背番号18を受け継ぎ開幕投手に。二年連続で8勝に終わるが、完投数が多く(10、7)エースの面目躍如といったところ。クォーター気味のフォームから投じられるナチュラルシュートが両刃の剣だった。
92年オフ、大失敗トレードの代名詞となった松永とのトレードでブルーウェーブへ。それから最多勝は獲るわ三年連続二桁勝利するわ一試合の最多奪三振記録を作るわで仰木オリックスの優勝にも貢献する等、その力を存分に発揮した。

93年
湯舟 敏郎
90年ドラフト1位。上記野田のトレードを受け93年からエースに指名されたハズのマイク仲田幸司が前年14勝したとはとても思えない程の低迷っぷりを見せていたために繰り上がりでエース扱いに。前年の11勝に続きこの年も12勝するなど抜群の安定感を誇ったが、翌年は打線との噛み合いも悪く5勝止まり。以後97年に10勝した以外は低迷。00年オフにバファローズへトレードで移籍するも目立った活躍が出来ず引退。
湯舟と言えば、92年のノーヒットノーランでしょうか。生まれて初めてタイガースの投手がノーヒットノーランを達成する様をリアルタイムで観られた感動は未だに忘れられません。その後川尻と井川も達成してますがあまり感慨が無かったのは、湯舟の時はチームが好調で優勝争いをしていたからなんやろなぁ。
因みに湯舟の解説はなかなか的を外さないので好きです。

94〜01年
藪 恵壹
93年ドラフト1位。入団時から背番号18をもらう。第二期暗黒時代のエース。野球が6回までだったら球史に名を刻む大投手になっていたハズ。
藪についてはもう語り尽くした感がありますが改めて。彼の凄いところは、6回まで1安打無四球完封→7回先頭打者にこの試合初めての四球→味方エラーで更にピンチ拡大。でもまだ被安打2→逆転3ランを打たれる、と言った「代えるべき兆候を見せることなく突然崩れる」ところにあり、これが歴代監督を泣かせてきた要因でした。それでも川尻や竹内ら名だたるライバル達に屈することなくエースの座を守り抜いたのは、やはり凄い時の投球内容が印象的だったからに違いありません。01年故障で未勝利に終わると、この年頭角を現した井川が事実上エースとなったため、背番号を18から4に変更。呪縛から解き放たれたのか、突然崩れる傾向がほぼ無くなり(打線の得点力が暗黒時代とは雲泥の差というのもあったでしょうが)、星野政権下で優勝に貢献。
05年からメジャーへ移籍し、05年、08年はメジャーでそこそこ働きましたが、基本マイナーリーガー。しかしまだまだ現役で頑張ってますよ。

02年〜06年
井川 慶
97年ドラフト2位。自分に生まれて初めて「エースの投球」というものを見せてくれたタイガースの投手だったかもしれない。プロ入り2年目に当たる野村政権一、二年目からそれなりに一軍で使われ、01年から本格的にローテ入り。チームが弱かったので9勝に終わるが防御率は2.67と素晴らしいものを見せてくれました。星野政権一年目の02年、開幕投手に選ばれると完投勝利で阪神タイガースの12年ぶり開幕戦勝利に貢献。03年は20勝で優勝に貢献。夏場に他の投手にやや疲れが見え始めた中、12連勝するなどその働きは本当に素晴らしかった。翌年からはやや安定感に欠けたものの、メジャー移籍するまで5年連続で勝ち越し、投球回数200回以上が4回と数字的にはエースとしての仕事をきっちりこなしてくれました。
しかし、メジャー移籍は残念ながら完全に詐欺。そろそろ帰ってくるか?

07年〜
安藤 優也
01年ドラフト1位。井川メジャー移籍後繰り上がりでエースに。しかしエースと呼ぶには余りにもこっぱずかしい投球が続く。今日のジャイアンツ戦もリードしてはあっさり追い付かれるこっぱずかしさでした。ぐずぐずしてると岩田にもってかれます。