CSは連敗であっさり敗戦。
試合内容的にも全くいいところなく、今季前半の雰囲気に戻っちゃってましたね。
というわけで第二次岡田政権もこれで終了。
年齢的におそらく「岡田監督」を観るのはこれが最後になるんでしょう。

一時間以上かけていろいろ書いてたんですが、歴史的なこととかはどうでも良くて、あくまで自分の岡田と球児への想いを書き連ねるべきなんやろなと思い一旦全消し。想いのまま書くことにします。

1977年生まれの自分にとって岡田彰布の最古の記憶はやはりバックスクリーン三連発。
そして何より想いが強いのは暗黒時代の四番としての活躍(90年代後半のジャンプ暗黒時代における『るろうに剣心』ばりの活躍、で伝わるだろうか?(笑)。
そして忘れてはならない92年の岡田に代打亀山事件。あれで泣いてるオールドファンもいた程のインパクトだった。
80年代後半から90年代初頭の暗黒時代前期にバース、掛布が去った後四番を務めることになった岡田には関ケ原の後の上杉家や大坂の陣の豊臣方のような哀愁があったが、正にその哀愁の集大成があの事件だったのではないか。
93年オフにタイガースで引退せずに退団した時は「なんでやねん」と思ったが、94年にイチローフィーバーに湧くグリーンスタジアム神戸で岡田がオリックスファンから大声援を受けているのを見て泣いたこともあった。当時自分は高校二年生。ここからまだ阪神タイガースの暗黒時代は10年近く続くことなる。

岡田はオリックスのコーチを経て98年からタイガースに復帰。
99年に起きた野村タイガース爆誕という奇跡は2000年オフの新庄MLB移籍で霧散し2001年に再ビルドすることになるのだが、この年はマスコミがやたら「二軍監督の岡田と一軍監督ののむさんの対立」を煽った。のむさん信者だった自分はマスコミだけでなく岡田も嫌いになりそうなり憂鬱な日々を過ごす。
マスコミの思惑通りのむさんはサッチー脱税事件もありオフに辞任。彼らの狙い通りにことが運びそうになるところ、謎の安藤統夫や田淵幸一などの怪情報も出つつ、まさかまさかの星野タイガース爆誕という二度目の奇跡が発生。
仙一は後継者は岡田と球団から指示を受けていたようでそのように人事をしつつ2003年に18年ぶり優勝を果たし健康問題を理由に勇退。
2004年、岡田は三塁コーチから内部昇格で一軍監督に。
さぁいよいよ岡田の時代・・・と思ったら一年目の采配は出鱈目もいいところ。今では信じられないが役割分担が不明確で特にブルペン運用は最悪。いつ投げたら良いか分からない投手陣には故障者もちょいちょい出た。ただしそれがシーズン後半の久保田と藤川球児のブルペン起用を生み、翌年のJFK誕生の礎となることに。オフにはマスコミから「コミュニケーション不足」を指摘され自分は「お前、のむさんに言うてたこと自分もできてへんやんけ」と突っ込んだりもした。思えばこの失敗が後の「役割分担明確化=お眼鏡に叶わなかった選手は成績良くてもなかなか使ってもらえない」に繋がっていくと思うと興味深い。
2005年は先述の通りJFKを始め役割分担を明確化し2年ぶり優勝。優勝争いの中で試合をしているからであろう、興奮状態の岡田は試合後に何を言っているのか分からないコメントを連発。各メディアは括弧書きで岡田が言いたいであろうことを補足するという本当に答えが合っているのか分からない監督談話を連日書くことになったが、これも岡田野球の大きなエンタメ要素に。自分はホンマに大好きです。
岡田野球のエンタメ要素のもう一つがデータ無視の謎の采配がハマる「神通力」。理屈じゃない、その場の勘がモノを言うのだというその凄味は後の監督では見たことがない、岡田ならではのエンタメでした。
2006年は8月末まで五割付近をうろうろ。球児の涙事件から急激に追い上げ優勝したドラゴンズ落合監督に「阪神の追い上げが・・・」と優勝インタビューで泣きながら言わせることになるもあと一歩及ばず。2007年は9月に球児炎の10連投10連勝からの9連敗という離れ業をやってのけ3位。
そして運命の2008年。大逆転V逸を喫し岡田は辞任。キャンプ時点でお眼鏡に叶わなった選手のみ起用する硬直化しがちな采配ではオリンピックや故障による主力選手の離脱を乗り切ることはできなかった。
CS1stStgでは球児がドラゴンズのタイロン・ウッズに粉砕されTHE ENDとなり、「すみません、監督」「球児、お前で終われて良かった」と双方泣きながら握手を交わす名シーンが誕生した。
大逆転V逸を許したとはいえ、成績的には十分に続投する内容であったため、この岡田の辞任がその後のタイガース監督人事の迷走を引き起こすことになったと自分は思う。不動心真弓(2009~2011)は岡田以上に動かない監督で何もしないまま4位2位4位。これまた満を持して登場した和田豊(2012~2015)は現代野球ガン無視のスモールベースボールで勝っても退屈な試合を展開し5位2位2位(日本S出場)3位。育成路線をぶち上げるために急遽白羽の矢が立った金本(2016~2018)はMLB風の現代野球路線をタイガースにもたらすも2017年の優勝争いに欲が沸いたか2018年はスモールベースボールに逆戻りし5位2位最下位。そしてこれまた満を持して登場した矢野(2019~2022)は捕手出身監督ならではの理論的な野球を展開してくれると思いきやまさかのメンタル重視路線で3位3位2位3位。試合後のコメントのクソつまらなさは他の追随を許さなかった。
あっという間に岡田辞任から15年が経過。その間優勝できないもののずっと阪神サイドにタイガースを任せてきた阪急サイドの強い要望で2022年オフに遂に岡田が超久々に阪神タイガース監督に復帰。2010~2012年にオリックスの監督を務めるもパワハラ的態度に選手どころかコーチ陣も委縮し空中分解させた(5位4位6位)岡田の再任を自分も懸念したが、一方で矢野のようなクソつまらん野球はせんやろうという期待もあった。

2023年開幕戦。試合後にコメントする岡田は落ち着いた話し方で15年前とは全然違った。
興奮して何言うてるか分からん岡田はもういなかった。年を取り優しくなったおじいちゃんがそこにいた。
人は変わることができる・・・そう思った。
優勝、日本一と2005年、2008年の忘れ物を取りに行くことができたのはホンマに良かった。
喜ぶ岡田を観られて良かった。

しかし。
復帰が決定した時に懸念したことは結局二年目に起きてしまった。
今季前半の極度の得点力不足を凌ぐ方法は岡田の辞書には無かった。四番近本では・・・動いてるようで動いてないよね。
それでも何とか五割で凌いだからこそ後半の追い上げがあったのは事実やし「普通」に戻すことで追い上げられたのも事実。
まぁそれでも2位止まりやし何より短期決戦には不向き。
2005年の日本シリーズ四連敗、CS1stStg通算1勝6敗(一度も突破できず)は短期決戦の弱さをよく表している。
よう昨季日本一になったで。日本シリーズ7戦のノイジー3ランでもう神通力は使い切ってたんかも(笑。
前も書いたけどここで終わるのが本人にも球団にもファンにも良い最後なんでないすかね。
笑顔で岡田を見送ることができて良かった。

そして。
2008年にあの握手を交わした藤川球児へ監督が引き継がれる。
普段の解説の内容をそのまま実践してくれるのであれば、遂にセイバーメトリクス本格導入になると思うが、果たしてどうなるか。
試合後のコメントでもその辺りのことを言ってもらえるととてもうれしいんやが。
指導者未経験からの監督就任は正直驚きやけど、まずは優しく見守りたい。
岡田も一年目は出鱈目やってんから。