先日えんめから「浅井は矢野の後釜には無理なんでね?」という電話がありそこから発展したこのお話。
タイガース限定ドラフトでもここ20年で木戸と矢野を獲ると後はロクな捕手がいないことが判明したタイガース。
他球団も含め、ここ最近の正捕手の歴史を紐解き、タイガースは今、矢野の後釜をどうするのかの参考になればと思う。


●ドラゴンズ
中尾(〜87)→中村武志(88〜01)→谷繁(02〜)
この20年で3名。
中尾から中村武志へのチェンジは見事だったと言える。
こういう世代交代を行えるのも、中村武志の素材が良かったからということはあるだろうが、この決断を行った仙一はさすが。
殴られながら育った武志も偉かったが。
武志の後は矢野や鈴木をモノに出来ず谷繁をFAで獲得。
後釜は小田か。

●スワローズ
八重樫(〜87)→秦(88〜89)→古田(91〜05)→米野(06)
秦をコンバートしてまで古田を正捕手に据えたのもこれまた古田の資質を見抜いたのむさんが見事。
古田の後釜は米野で確定なのか?

●ジャイアンツ
山倉(〜88)→中尾(89)→村田真一(90〜00)→アベシン(01〜)
武志に弾き出された中尾で1年凌いだ後、村田真一時代へ。
村田の後釜に村田善や吉原や柳沢やいろいろ試したがモノに出来ず、マンションで獲得したアベシンが登場するも、そろそろコンバートか。
後釜は・・・いるの?

●カープ
達川(〜92)→西山(93〜01)→木村一(02)→石原(03〜04)→石原・倉(05〜)
達川引退時に西山であれだけやれるとは思わなかったがよく頑張った印象。
いちおう瀬戸もいたが。
西山の後、木村一を起用するも打撃はともかく捕手としての能力が絶望的だったため石原にスイッチ。
それで落ち着いたかに見えたがここ数年は倉との併用が続いている。
石原・倉共に打撃が弱いのが悩みの種か。

●ベイスターズ
若菜(〜87)→市川(88〜89)→谷繁(90)→秋元(91〜92)→谷繁(93〜01)→中村武志(02〜03)→相川(04〜)
やはりこうして見ると優勝回数の少ないチームは捕手の交代劇が多いことが分かる。
谷繁の抜けた穴を埋めきれずに早6年が経過した。
相川もそれなりには頑張ってはいるが中村武志が健在なうちにもう少しなんとか出来なかったのかという印象。
ドラフトで注目されていた新沼君がモノになっていないのが痛い。

●ファイターズ
田村(〜94)→田村・田口・安田(95〜97)→野口(98〜02)→高橋信二(03〜04)→高橋・実松(05)→高橋・鶴岡(06)
田村が衰えてきてしばらくトロイカ体制が続くもスワローズから古田の陰に隠れていた野口を獲得し見事正捕手に。
その後も高橋信二へとスムースに世代交代が成功するもここ数年はやや故障がちなこともあり実松(現ジャイアンツ)や鶴岡との併用が続く。

●ホークス
吉田博(〜88)→内田(89〜90)→吉永(91〜96)→城島(97〜05)→山崎・的場・田上(06)
城島が獲得出来たのは本当に大きかった。
元々捕手能力に難のあった吉永からの交代を決断するのはそうそう難しいことではなかったかもしれない。
的場や山崎は捕手としての能力はまずまずのようだが打撃が城島には遠く及ばない模様。

●ライオンズ
伊東(〜02)→伊東・細川・野田(03)→細川・野田(04〜05)→細川・銀ちゃん(06)
かれこれ20年間伊東が勤め上げ、引退した年も半分近くは伊東がマスクを被っている。
細川・野田は伊東の引退で与えられた出番であるためかイマイチ大成しきれない印象。
しかし銀ちゃんは間違いなく現在球界で期待度No.1の若手捕手と思われ、将来が楽しみである。

●マリーンズ
袴田(〜88)→青柳・福沢・定詰(89〜96)→清水・橋本・里崎(97〜03)→里崎・橋本(04)→里崎(05〜)
89〜03については3人が3人共その間働いたわけではないが、だいたいこういう感じということで時代を感じていただければと(笑。
セ・パの最下位常連同士として、タイガースファン的にはよくマリーンズを気に掛けていたのですが、お互い捕手に苦労しているなぁという印象でした。
学生No.1捕手の触れ込みで入団し、ルーキーイヤーに早くも「あぶさんと一緒に呑む」という偉業を達成した清水(現ドラゴンズ)は打撃に難があり、サンデー小野とのコンビで一時注目を集めた橋本も大成には至らず、「打撃はそこそこやけど・・・」と言われていた里崎が05年途中から正捕手に座り、リード面も成長。
マリーンズファン曰く「予想外」だったらしいが、里崎がここから数年は要として活躍していくだろう。

●オリックス(ブルーウェーヴ準拠)
中嶋(〜91)→中嶋・高田・三輪(92〜99)→日高(00〜)
「球界一」と言われた中嶋の打撃力がブルーサンダー打線と共に衰えて後、迷走状態に。
高田・三輪は捕手としては優秀だったが打力が乏しく、打力を買われて日高が正捕手になるも、捕手能力が微妙な上に肝のはずの打力もイマイチという状況が続く。
だったら的山(バファローズ合併で加入)を使ってしまう監督の心情は痛いほど理解できる。

●イーグルス
略(ぉ
まぁ、中谷が一軍に入れるレベルですんで・・・

以上、他球団終わり。
ここまで他球団の捕手歴を見て思うのは、「一度迷走状態に入るとなかなか一本立ちさせられない」ということだろうか。
そういう状況下で正捕手の座についた捕手は里崎くらいに思える。
一本立ちさせられないから迷走しているのかもしれないが。
捕手の交代が巧くいった例は、ドラフト(高卒も)にせよトレードにせよFAにせよ「これ」という資質を持つ捕手を獲得した時に思い切って代えてしまうことのようだ。
そういう点で昨年、高卒ルーキーながら銀ちゃんを起用した伊東監督はさすがと言える。
一軍定着は出来なかったが、とりあえず起用してみたところ、後々正捕手となった谷繁の例があるため、大いに期待出来るところだ。
そういう点では相川や日高の起用も間違ってはいないのかもしれない(彼らの資質がどうなのかは置いておいて)。

さて、それではいよいよタイガース。
捕手歴を振り返ると共に、矢野の後釜をどうしていくかを考えましょう。

●タイガース
木戸(〜90)*嶋田宗、吉田博、吉田康は略(笑→山田(91〜92)→山田・木戸・関川(93〜94)→山田・関川・北川・塩谷(95〜97)→矢野(98〜)*01までは山田・カツノリも併用されていた印象があるが実際は矢野が100試合以上出ていた
今更個々の選手についてグダグダ語るのは置いておくとして(笑、他球団でもそうだったように「一度迷走するとなかなか抜け出せない」ということがよく分かる。
木戸の後釜が山田に確定しかけたにも関わらず、あまりにも打撃が絶望的だったので捕手としては疑問符ながら打撃を買って関川を起用したのが運のツキだったのか。
尚、上記にも*でコメントしましたが、矢野も加入した直後は迷走の中に入っていた印象があったんですが、、試合数を見てみると矢野の出場試合数は110を越えていて、よっさんの時から「正捕手・矢野」となっていたことが分かりました。
というところで「これという資質を持つ捕手を獲得したら思い切って代えてしまう」パターンが矢野の成功にも適用されます。
山田についても、山田自身の能力についてはともかく、山田が正捕手であると固めてしまえば、関川のコンバートも出来たであろうことを考えると、トロイカ体制はよくないだろう、という意見で問題ないと思います。

以上を踏まえて今後、矢野の後釜をどうするかを考えると・・・
野口はあくまで矢野の保険であるため除外するとして(起用しても将来性がない・・・)、矢野がまだまだ元気であるため出番がないというのは非常に可哀相ではあるが、今更浅井が正捕手になる、ということは考えにくい。
岡崎・大橋・小宮山・狩野も既にプロ入りから2シーズン以上経過しており、同様の理由でやや厳しいかもしれない(高卒でも同ラインで判断しているのは、城島や銀ちゃんも高卒ながらとりあえず一軍の試合には出ていたため)。
というところで期待するのはやはりルーキーの二人。
橋本君と清水君を、今季いきなり(10試合ずつくらいでいいから)一軍で起用すべき、と私はここに提案する。