中村GM誕生が迫る中、GM最大の仕事とも言えるトレード、移籍について中村勝広の過去の主なお仕事確認をします(助っ人、ドラフトはスカウトの責任も大きいし除外。まぁGMならその辺の任命力も問われるわけですが)。


<タイガース編>
■89〜90
・獲得
パリッシュ(中古:S)
・放出
特になし

フィルダーに逃げられた代わりにスワローズを解雇されたパリッシュを獲得。
当時タイガースが今くらい太っ腹ならもう数年フィルダーを観られたのかと思うと残念ですね。
パリッシュはスワローズを「チャンスに弱い」という理由で解雇されましたが、噂に違わぬ「どうでもええ場面ホームラン」が多かった印象。とは言え、105試合で28本塁打と長打力は健在でした。故障で途中帰国してなければ残留していたのでは?

判定:△

■90〜91
・獲得
藤本修(トレード:H)
西川(トレード:H)
吉田博(トレード:H)
近田(トレード:H)
右田(トレード:H)
石井(トレード:G)
高橋慶(トレード:M)
古屋(解雇:F)
・放出
池田(トレード:H)
大野(トレード:H)
渡真利(トレード:H)
岩切(トレード:H)
鶴見(トレード:G)
遠山(トレード:M)
#キーオ(解雇:MLB復帰)

伝説のホークスとの4-5トレードの年。結果は放出した池田がクローザーに定着、大野は42盗塁で盗塁王に輝いたのに対し、獲得した五名は鳴かず飛ばずの大失敗。
石井-鶴見は今のところ最後のTG間トレード(それだけしか話題が無い)。
慶彦は既に輝きを失っており戦力にならず。その高橋慶彦とトレードになった遠山はこの時から8年を経てタイガースに復帰、松井キラーとして名を馳せます。
ファイターズを解雇されたところを拾った古屋は代打で3割を打つなどそれなりに活躍するも、カープ優勝時の最後の打者として何度も映像に出る運命が待っていました。
移籍ではないですが、二桁勝利が見込めるエースのキーオを解雇したことも忘れてはいけない点でしょうか(代わりにオマリーを引いたと思えばいいんでしょうけれども)。

判定:×

■91〜92
・獲得
パチョレック(中古:W)
立花(解雇:L)
・放出
特になし

中村政権唯一のAクラスイヤー。
四年連続三割ながら長打力が無いということでホエールズを解雇されたパッキーを獲得するなどなかなかの巧い戦略も、もう一人の獲得選手立花をこの年大売り出し中だった新庄の代打に出してファンの盛り上がりに水を差すなどさすがの采配も披露。

判定:○

■92〜93
・獲得
松永(トレード:Bw)
・放出
野田(トレード:T)

タイガース時代の中村政権の象徴と言えばこのトレードでしょう。
「67-8(勝)」という算数ができなかったために先発ローテの一人だった野田を放出するという暴挙で前年度AクラスからあっさりBクラスに転落。獲得した松永はこのオフから導入されるFAでたった一年在籍しただけで移籍するという泣きっ面に蜂状態に。ここから第二期暗黒時代が始まったと言っても過言ではない大失敗トレード。

判定:×

■93〜94
・獲得
古溝(トレード:Bw)
米崎(トレード:Bu)
石嶺(FA:Bw)
南牟礼(解雇:Bw)
長嶋(金銭:M)
・放出
渡辺伸(トレード:Bw)
嶋田(トレード:Bu)

古溝はまさかのクローザー就任で成功、前年野手転向で突然花開いた嶋田弟を速攻でトレードに出し手薄だった内野手の米崎を獲得し非力な久慈との併用を狙うなどMLBばりのアグレッシブさ。FAで獲得した石嶺はシーズン後半完全に失速するも前半の活躍は素晴らしく、拾い物組の南牟礼は石嶺の守備固め、長嶋は左の代打の切り札として定着するなどこの年は移籍戦略は大成功でした。
なのに何故Bクラスに沈んだかと言うと、ロブ・ディアーという大きな負債をシーズン後半開始まで引っ張り続けた中村勝広の采配に問題が・・・監督がまともだったらAクラスだった????(ディアー故障後の勝敗は貯金4)

判定:○

■94〜95
・獲得
中谷(解雇:Bw)
村上誠(解雇:H)
山沖(FA:Bw)
・放出
#オマリー(解雇:S)

94年後半の戦いに手応えを感じてしまったのか、この年の補強は控えめ。FA移籍の山沖は登板一度も無し。拾い組の二人もいまひとつ。
またこの年は四年連続三割ながら長打力が無いということでオマリーを解雇・・・ってこのフレーズさっきも書いたような・・・自分達の成功例を忘れて当時のホエールズと同じ愚行を犯したタイガースはこの年最下位に、放出したオマリーはスワローズに移籍し3割30HRで優勝に貢献しました。日本シリーズの「小林VSオマリーの14球」は球史に残る名場面ですね。
阪神大震災の年ということでオリックスは「がんばろう神戸」を掲げ優勝、対してシーズン中ほぼ浮上すること無く終わったタイガースはこの年途中で遂に中村勝広に休養(解任)の判断を下しました。五年半に渡りタイガースファンを苦しめてきた中村勝広体制はようやく終わりますが、タイガースの暗黒時代はここから更に七年も続きます。

判定:×

<オリックス編>
■03〜04
・獲得
谷中(トレード:T)
斉藤(トレード:T)
ムーア(解雇:T)
村松(FA:H)
・放出
牧野(トレード:T)
葛城(トレード:T)

八年間解説で「ここは機動力を使いたいですねぇ」と言っては視聴者から「お前はそれやったんかい!!」と突っ込まれる日々を経て、オリックスGMとして現場復帰。イチロー、田口、長谷川ら仰木オリックスの申し子達が軒並みMLBへ移籍し弱体化したオリックスの再建をまさかの中村勝広に託すという暴挙にタイガースファンは騒然。
初年から積極的に動き、タイガースで干され気味だった谷中や優勝に貢献しながら解雇されたムーア、FAでホークスから村松を獲得。放出要員には伸び悩み気味だった牧野、葛城育郎を選ぶなどなかなかええ補強に見えましたが、結果は村松以外は活躍せず。放出した二人もそんなに活躍したわけでもないのでプラマイゼロっちゃゼロですが、チームは三年連続の最下位に。

判定:×

■04〜05
・獲得
菊地原(トレード:C)
・放出
山崎浩(トレード:C)
上村(トレード:C)
#山崎武司(解雇:E)

近鉄バファローズ身売りで合併した初年度。合併したため必然的に戦力は向上、ほぼ何もしなくても四位に浮上。合併という難局を乗り越えるために両チームで監督経験のある仰木彬を監督に招くがこれが仰木さんの寿命を縮めたと言っても過言ではないでしょう。かくしてシーズン終了と共に一年で退任した仰木さんはその数カ月後に死去。「グラウンドで死ねたら本望」を実践して見せ多くのプロ野球ファンを号泣させました。
一応移籍内容に触れておくと、菊地原の獲得は成功。その後イーグルスで主砲として復活する武司の解雇もあの時点では真っ当な判断かなとは思います(あそこから復活した武司が凄い)。

判定:△

■05〜06
・獲得
前川(トレード:T)
小島(金銭:E)
デイビー(強奪:C)
清原(解雇:G)
ノリ(米出戻り)
セラフィニ(強奪:M)
・放出
相木(トレード:T)
#バーン(解雇:M)

まさかのGMからの監督復帰。デイビーはローテの一角で活躍するも他の獲得選手はあまり働かずでこの年も最下位を免れるのがやっと。6勝に終わったため解雇したバーンをマリーンズが獲得、11勝しマリーンズの日本一に貢献したセラフィニと結果的に交換したことになったがバーン3勝、セラフィニ0勝とまさかのバーンの勝利に終わる。

判定:×

■06〜07
・獲得
鴨志田(トレード:G)
長田(トレード:G)
辻(トレード:M)
平下(トレード:M)
吉田(トレード:H)
木元(トレード:F)
清水(トレード:F)
加藤康(解雇:M)
ラロッカ(強奪:S)
#ローズ(浪人生活から復帰)
・放出
谷(トレード:G)
早川(トレード:M)
吉井(トレード:M)
萩原(トレード:F)
歌藤(トレード:F)
#ノリ(解雇:D)

一年で現場を退きシニア・アドバイザーに。
この年も積極的に動いたものの、谷、早川、中村紀が移籍先で大活躍し、オーナーが「私が聞いていた情報とは全然違った」という名言を残すこととなります。一方で浪人生活を送っていたところを獲得したタフィ・ローズが活躍するなど面白いところも見せたりはしていますが。

判定:×

■07〜08
・獲得
浜中(トレード:T)
吉野(トレード:T)
古木(トレード:YB)
山崎浩(トレード:C)
カブレラ(強奪:L)
・放出
平野(トレード:T)
阿部(トレード:T)
大西(トレード:YB)
田中彰(トレード:C)
的山(金銭:H)

シニア・アドバイザーから球団本部長に。オリックスに携わった六年間で唯一のAクラスイヤー。
パウエル事件(オリックスと契約合意したハズが実はホークスと同時並行で契約を進められており、最終的にはホークスと契約)で「腹が煮えくり返る思いです(ええ声で)」の名言を残す。
カブレラの強奪に成功し「ビッグボーイズ打線」が完成。シーズン序盤は低迷するもコリンズ監督を解任し大石代理監督になるとチームは急上昇し二位に。
しかしトレードに関しては放出した平野、大西が移籍先で活躍した反面、獲得した選手は吉野以外はいまひとつに終わり、失敗の傾向に(山崎浩は微妙なところですが)。
しかしこうして見るとどんな野球目指してんだって補強ですな・・・長距離砲ばっかで。

判定:△

■08〜09
・獲得
大村(トレード:H)
フェルナンデス(強奪:E)
ボーグルソン(解雇:T)
・放出
村松(トレード:H)
加藤康(解雇:YB)
金澤(解雇:H)
高波(解雇:L)

前年度二位に甘んじること無く割と積極的に補強。大村はそれなりに働きましたがボギー、フェルナンデスはいまひとつ。チームは前年躍進に貢献した若手投手陣が軒並み故障・不振で再び最下位に低迷。中村勝広球団本部長は責任を取る形で辞任。
その後岡田政権が発足、二年連続で五割ラインを戦っており中村時代よりは奮闘しています(今季は故障者続出で低迷していますが)。

判定:×

合計:2勝7敗3分

まぁ、案の定の大惨敗ですね。
超前向きに考えると、移籍策には積極的なので、近年の何もしないタイガースフロントよりはマシ?ただトレードは失敗が続くとホンマにチームが壊滅するのでなぁ。今のベイスターズが正にそうで、逆わらしべ長者を続けた成れの果てにトレード要員すらいないという有様ですし。まぁトレード要員がいないという点ではタイガースも似たような状況になりつつありますが。
MLBでも移籍策で失敗続きのGMがいますが、中村勝広と共通するのはおそらく全て場当たり補強で長期的視野が無いという点でしょうか。

MLBと言えばレッドソックスとドジャースで凄いトレードがありましたね。タイガースもあれくらいのことできたら面白いのになぁ・・・。タイガースで言うと久保、新井、平野、関本をトレードに出した感じ?放出だけなら中村勝広もやらかしてくれそうな気はするんやけど、それで得るものが無さそうなのが泣ける。