Baselball Labさん開設以来どっぷりセイバーメトリクスにハマってしまいましたがそろそろ私的に纏めというかメモというか。大雑把かつ自分なりの解釈も入れているのでちゃんとしたことは専門サイトでご確認ください。


・セイバーメトリクスとは
基本的には確率論の世界。なので分母が小さいものや一定しないデータについては「あまり意味が無いもの」となる。
全てを平均化したデータを基準に優劣を測る。
「3割の打者と2割7分5厘の打者では2週間にヒット1本の差しかない」は素晴らしい説得力を持つと思う。

・OPS
出塁率+長打率。
お求めやすいのが最大の長所。
意味としては「その選手がどれだけ塁を踏んだか」になるのかしら。

・得点期待値
各状況においてどれだけの得点が期待できるかという値。
平均値で出しているので「10-0」の状況も「1-0」の状況も等価になってしまうのが短所でもあり長所でもある?
この考え方は本当に面白いと思った。シングルヒット3本は1点の価値があるとか。

・WPA
試合展開によってそのプレーがどれだけ勝率を上げたかを示す値。
この値が一番「今までの野球」と「セイバーメトリクス」の接点になりそうな気がする(状況別に出すので「勝負強い」などの点がちゃんと評価される)。
走塁面はあまり評価されないのがセイバーメトリクス界隈では通例みたいですがこの値なら正当に評価されそうな気がするんですが出すのが超めんどくさいのが最大の欠点。

・前進守備はあまり意味が無い
データ上は前進守備した結果ヒットを打たれやすくなり結果失点が増えてしまうケースの方が多い。
しかし当然のことながら1点も許されない場面で内野が前進守備していないとホームでアウトにできない場面というのは存在することも忘れてはならない。

・送りバントはあまり意味が無い
得点期待値的には無死一塁と一死二塁では無死一塁の方が得点する可能性が高いというデータが出ている。
だが凡退して走者を送れなかった(一死一塁になった)り併殺に倒れてしまった(二死走者無しになった)りするよりは当然一死二塁の方が得点期待値は高いので、後ろ向きな選択としては有効な戦術であることは間違いない。相手投手がそうそうヒットを打てないクラスだったりすると余計に。

・走塁はあまり評価されない
WPAの項目でも触れましたがセイバーメトリクスの世界では走塁はあまり評価されません。
例えば無死一二塁と無死一三塁では得点期待値に.307の差がありこれは四球1個選んだくらいの得点価値になりますが、評価されないのはおそらくデータの絶対数が少ないため?
まぁそもそも一塁から単打で三塁まで行くという場面を生み出すにはヒットを打たないといけないのでだったらヒットを打てる方を評価すべきというのもあるかもしれない。
まぁ走塁が力強いとチームに勢いが付くし、強いチームは積極的に走るけど弱いチームは消極的に走らない傾向にあるのも事実と思われる。「アウトになったらどうしよう」って思うか思わないかの差。

・「打たせて取る投手」というのは存在しない
「インプレーになった打球がヒットになる確率は、長期的に見ればどんな投手でも同じであり、投手は打球の結果をコントロールできない」というデータが論拠となっている。
しかしゴロを多く打たせる投手というのは存在し、ゴロは得点期待値が低いことからその投手を「打たせて取る投手」と言うこともできる(しかし先述の通り被打率にバラつきでが出るので成績もバラつきやすい可能性がある)。
また、近年のファイターズなど、守備力の高いチームは安定して被打率が低いというデータもある。

・ゴロの得点期待値は最も低い
よく「転がせば何かが起きる」と言うが、ゴロの得点期待値は実は最も低い。
「転がせば何かが起きる」は「捕球→送球→捕球」とエラーのチャンスが三度あるため(フライ、ライナーは捕球されれば終わり)に言われることですが、打球の質としては当然フライやライナーの方がヒット、長打になりやすいわけなのでこれは言われてみれば当然のこと。
ただ、好投手相手に確実に相手が捕れないようなフライやライナーを打てるかと言われれば当然それは難しいわけで、比較的狙って打ちやすいゴロの方が良いという局面も存在するでしょう。

とりあえず現状こんなところ。
個人的に今思っているのは「セイバーメトリクスは戦略面では大いに使えるが戦術面では過信は禁物」というところでしょうか。
近年のタイガースのように大味なチームはセイバーメトリクスがぴったり当てはまるのでなかなか面白いです。