先に『2』についていろいろと書いてしまったが、それはひとえに『2』がゲームとしてとてもよくできており、やはりこのゲームにはそういう部分を求めたいからだった。
が、次作発売まで2年で終わってしまった『2』に対し、5年間、様々なハードに移植され更に様々な外伝的ゲームがリリースされた正に「ギャルゲ界の怪物」たる初代についても触れないわけにはいかない。


本題に入る前に断っておくと、初代も決してゲーム性が低いわけではない。『2』の出来が良すぎるだけで、初代も十二分に遊べる。そもそもそれが無ければ、根本的な爆発力を持てなかっただろう。それはこの作品黎明期の歴史からも分かる。発売前評判は末期のPCEソフトということもあり、ほとんど話題にならなかったが、発売後口コミで「面白い」と評判が広まっていき、クロスレビューであまり高くない評価をつけていたファミ通までが専用コーナーを開始。そして遂に、発売から約一年経ってラジオドラマが開始される。これが今回取り上げたい「世界の拡張」が始まった瞬間だった。世に出た時はマイナー作品だった初代がメジャー街道を伸し上がっていきその世界を広げていく度に、古参のファンは何処か誇らしい気分になり、また新規ファンを獲得する機会となったと思われる。今回はそんな初代の世界の広がりを振り返ります。

<ラジオドラマ>
初代の世界観は「ツッコミどころ」満載だった。ハッキリ言ってエキセントリック過ぎる少女達(今となってはさして珍しくも無いキャラ設定のように思えるが、当時「恋愛」を扱ったゲームで女の子達にあのキャラ付けをするのは挑戦的だった)はゲームに映らない部分ではどのような日々を送っているのか、それを想像するだけで面白すぎた。ラジオドラマはユーザーのそういった妄想を具現化するものだった。また、先述の通り発売当初はマイナーだったゲームであり、起用されている声優陣も本職ではない人か本職でも(当時)マイナーな人ということもあってか、ラジオドラマの開始は制作側とユーザー共に「ここまで育て上げた感」を抱いたと思われ、この後の「世界の拡張」へ勢いをつけたと思われる。因みに、好雄と如月さんが付き合うことになった時の如月さんファンへの衝撃は凄かったらしい。

<PS版>
ユーザーが待望した「みはりんとのデートイベント」が追加。正に「ユーザーの力で追加された」と言っても過言ではないことで、これによりみはりんは突如トップクラスの人気を誇るキャラへと急成長を遂げる。

<ドラマシリーズ>
「世界の小島組」制作。「『ポリスノーツ』のシステムを使って何か他にも作れないか?」ということが発端で誕生したが、「よくぞここまで」と感嘆する程、初代の世界を使って感動的な物語を作り上げていた。「ポリスノーツチックな絵が微妙」等否定的意見もあったが、概ね受け入れられ、ラジオドラマや小説やOVAではない「ゲームの物語」として初代はここに究極形と言っていい完成を見たと言っても過言ではなかった。小島組ファンが本作品から逆に本編を好きになるという現象も見られたらしい。また、二作目三作目のヒロインをファン投票で選ぶ等、これまた「ファンも一緒に作り上げている」感があったのも巧かった(隠しキャラのみはりんが1位になってしまったことでいろいろ物議を醸すことにはなりましたが)。三作目『旅立ちの詩』のEDで各キャラが卒業証書を持っている姿に涙。沙希さんの留守電は伝説。

<ときめきの放課後>
ゲーム本編の登場キャラ達とクイズに答えていくことで彼女や一部彼の好感度を上げられればグッドEDを迎えるというゲームとしてはなんてこたないものですが、EDでは「その後の二人」が描かれる等、ファンにはたまらない内容に。ゲームとしての初代はこれが最後であったため、スタッフからの最後のプレゼントだったと言えるかもしれない。

<OVA>
まさかの黒田洋介さん脚本でヒロイン視点から描かれ、主人公はほぼ出てこない(また各キャラの話の内容から主人公に相当する男子生徒が複数いると思われる)。主に詩織さん、みはりん、清川さんにスポットが当てられ、その他のキャラも含めて、卒業を間近に迎えたヒロイン達の悩みや葛藤が描かれている。ドラマシリーズで出番が少なかった清川さんがわりかしメインキャラ扱いだったのは、清川さんファンの声が届いたということだったのか?みはりんから詩織さんへの電話は伝説。

以上、これまた簡単に振り返りましたが、初代はこんな感じでのらりくらりと5年間生きながらえました。また、いろんなところでパロディやネタにされるなど、一部では社会現象になっていたと言えます。まさに「怪物」の名に相応しいムーブメントだったと思います。

実のところ、自分は最初『4』を買うかどうかは漠然としていました(未だに『モンハン』遊んでるので不要かと思った(笑)。しかし、学生時代共にメモラーとして戦ったくまちんの一言で買う決意を固めました。
「GSも人気が出てるし、そもそも『ときめきメモリアル』である必要もないのに、わざわざ『4』ってゆーて出してくれるねんで?俺らが買わんでどないすんの?」