けろけろさんにお借りしてから何年？て期間が過ぎてしまいましてまっこまこに申し訳ない。
やっと読破しました。


信長と光秀の独白形式で光秀が本能寺の変に至るまでのお互いの想いが綴られていくのですが、天才・信長と秀才・光秀の想いが徐々にずれていくのが物凄く面白く。
光秀が本能寺の変を起こした動機は日本歴史史上でも屈指の謎だと思うんですが、本作では怨恨、野望、恐怖といった定石通りの光秀個人判断説を全て採用し、光秀自身どれが決定的なものかは分からずモヤモヤした中で変を起こすという、なかなかリアリティのあるものだったのではないかと思います。
信長への様々な想いと、文字通り千載一遇の信長討伐のチャンスが偶然にも重なった瞬間が光秀に訪れた。どちらかだけでは決して起こらず、また同じ材料が揃ってもこの時で無ければ起きなかったであろう本能寺の変。おそらく日本の歴史を大きく変えることになったに違いないこの事件の持つ意義を考えると、光秀という男はなんとも魅力的な人物だと思う。