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↓で『ONEOUTS』の感想書いてたら『ストッパー』のことを思い出したので。『ストッパー』は個人的に水島作品の中で最高傑作だと思っているんすが、今までこのサイトで触れたことが無かったというかまぁそもそも水島作品について語ることもあまり無かった気がしますが。


『ストッパー』の魅力はおおまかに言うと下記の二つになるかと思います。

・主人公の三原心平が割とダークヒーロー的
心平は高校球児としては無名でたいした実績も無く凄い球を投げるわけでもないのですが、ドラフト外で何とか大阪ガメッツに入団します。そして1年目から超遅球や山なりボールを駆使し、配球勝負の頭脳派投球でガメッツのストッパーとして君臨していきます。ところがその後、実は心平の投球にはヤスリやグリスを使った不正投球があることをライバルの岩田鉄五郎に見抜かれます。果たして心平は鉄五郎の追求を逃れられるのか・・・というのが本作品の序盤の山場なのですが、この辺の展開のハラハラ感は他の水島新司野球漫画には無いもので、とても面白かったです。

・心平と岩田鉄五郎との頭脳戦
本作品はガメッツのライバル球団として『野球狂の詩』の東京メッツが水原勇気抜きではありますが出てきます。そしてミスターメッツこと岩田鉄五郎はもちろんメッツのメインキャラとして登場、主人公の心平を食う勢いで心平との頭脳戦を繰り広げていきます。基本、この作品は心平と鉄五郎の頭脳戦がメインであり、これだけでも毎試合楽しめます。心平の不正投球を追求しておきながらその後鉄五郎も不正投球をしたりとか、鉄五郎が心平をギャフンと言わせるパターンの回の方が個人的には熱いです。

以上、だいたいこんな感じですが、とにかく心平と鉄五郎のキャラクターとなかなか腹の内を見せない頭脳戦・心理戦で試合の回も試合以外の回もぐいぐい読ませてくれます。本作品を読んで、昨今リアルプロ野球でもあまり観られなくなった「知略のぶつかり合い」を楽しんでみるのも一興ではないでしょうか。