『ときめきメモリアル2』を振り返る(ついでに1も)

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*本文はネタバレがあるので注意されたし

『ときめきメモリアル2 Substories Memories Ringing On』 (以降『MRO』)で 『ときめきメモリアル2』(以降『2』)シリーズはいちおう幕となるのだろうか? 5年もの寿命を誇った『ときめきメモリアル』(以降『1』)に対し、『2』は2年。 製作サイドの狙いと僕の想いの葛藤を書こう…かとも思ったが、イマイチ頭ん中で話が まとまらんので思ったことをつらつら書きます。
<『1』と『2』、明らかに違うと思われる製作側の思惑>
まず前置きですが…以下は全て私の推理ですのであしがらず…。 『1』のプロデューサーだった三品氏はその狙いとして3つのことを挙げていました。 「え!?あのコナミがこんなゲームを!?と思われるような、 誰も恥ずかしくて買えないそんなゲーム」 (当時コナミはドラキュラやグラディウス、 各種スポーツゲームなどを軸とした割と硬派なメーカーだった。今はどうなんでしょ?) 「高校を卒業してしまった人が昔を懐かしめるようなゲーム」 「シミュレーションというジャンルでの恋愛ゲー」(選択肢だけじゃない、 主人公が己を磨く事によって成り上がっていく、そういうゲームにしたかったとのこと) 以上3点が『1』の狙いだったのですが、これがよもやの大ヒット。 94年に発売されたPCE版が口コミで広がって行き、 95年発売のPS版は50万本を越え、全ハードの合計は100万本を越える程の 大作にのし上がってしまった。おそらく当初続編の予定など無かったと思われるが、 これは出さないわけにはいかない…ユーザーの期待と、メーカー上層部の期待、 二つのプレッシャーを背負い、5年の期間をおいて『2』は世に送り出された。 ゴールなど見えない、というよりハナから想定していなかった、まさに挑戦だったであろう 『1』に対し、『2』は『ときめきメモリアル』というブランド力にガッチリ支えられた反面、 あまり自由に動けないという制約もあったと思われる。 「ドラマシリーズをいつまでに出す」「CDをいつまでに出す」「『3』をいつまでに出す」 おそらく「2年」という寿命が最初から決められていた『2』シリーズは、 常に締め切りとの戦いだったのではないか?ある漫画家さんがこんなことを言っていた。 「連載持ってないころは、いつ来るかも分からない読み切りの依頼に備えて じっくりネタを練れたけど、連載となるとそうもいかない」 例え、締め切りに追われるようなことがなかったとしても、 「ゲーム」というメディアでそれを実現するには綿密な計画があり、その通りに 事を進めていったと思われます。 大きな大海へと漕ぎ出すような想いだったであろう『1』とレールの上を走るだけだった『2』、 どっちのパターンでも失敗例は数限りなくあるとは言え、 こと『ときめきメモリアル』に限って言えば、 製作側の「熱」が同種であったかどうかは…。 前にK氏が言っていたことが全てを言い表している。 「『2』はガチガチに固められていて世界の広がりを感じることができなかった」 無論、世界がオーバーフロー気味に拡張されていくことがイヤな人もいるだろう。 だが、『1』の魅力は、その拡張性にあった、と私は思う。 そして、『2』は『1』の拡張パーツでしかなかったのではないか、とも。
<本編は『2』の方が面白かった>
ここからはゲーム単体での評価というか感想です。 『1』と『2』、本編(『ときめきメモリアル』と『ときめきメモリアル2』)は 断然『2』の方が面白かった、と僕は思います。 PCE版の詩織さん級に攻略が難しかった人、 番長シリーズとの熱いバトルが印象的な人、 転校する人、退学する人、双子だったりする人、 出会える可能性がかなり低いであろう人、 ゲームを隅々までよく見ないと会えない人、 EDで選択肢が出てくる人、 彼女を賭けた親友とのバトルなど…。 ゲーム的にも飽きさせない構成で、素晴らしいデキだったと思います。 さらに特筆すべきはシナリオの良さ。 『1』ならドラマシリーズ級のシナリオの練られぶりが『2』は本編で見られ、 話の上でも飽きさせなかったです。 しかし、その反面、募る不安もありました…。 それは、「本編でここまでやってもたら、ドラマシリーズはどうなんねや?」 ということでした…。
<『Substories』はあくまでサブストーリーだった>
『1』のドラマシリーズは、まさにドラマで、それだけでひとつの作品となりうる、 とても「外伝」的な作品とは思えないデキでした(ミニゲームのデキも 素晴らしかった)。これは作ったスタッフが 本編とはまた違ってかのスナッチャー・ポリスノーツや、メタルギアシリーズで知られる 「小島組」だった、というのもあるのでしょうが、まあそれはここでは置いておいて… 正直なところ、僕も『虹色の青春』がなければ、あの沙希ちゃんの留守電がなければ、 ここまで『ときめきメモリアル』にハマらなかったと思います。 「閣下サイコー!」で止まってたでしょう。 『1』のドラマシリーズには、それほどのパワーがあったのです。 対して『2』のドラマシリーズは、当初の発表から『Substories』にタイトルも 変更され、あくまで本編での知られざる部分を補完する、 「おまけ」的な部分が大きかったと思います。 「ああ、あの時こんなことがあってああなってたんだ」とか、本編をプレーした人でなければ 分からない、そういうお話でした。 無論、本編のデキを考えればそれで正解なのですが、 『1』のようなドラマを期待していた人からすれば肩透かしの感はいなめなかったでしょう。 『MRO』は主人公・光ちゃん・琴子ちゃん・華澄さんの四角関係をより深く煮詰めて なかなか良かったのですが…結局シナリオの進め方次第でどのキャラともEDを迎えられてしまう、 そのサービス精神が逆にアダとなったというか…まあこれはストーリーのあるゲームにおいて 必ず起こる現象なんですが…例えば『1』のみはりんがドラマリシーズのヒロインになる程の 人気を得たのはPS版本編から加えられた「最初で最後のデート」が原因なんですが、 このシナリオでのみはりんは当然主人公にフラれているわけで、 だったらちゃんと主人公と伝説の樹の下で卒業の日を迎えられたみはりんは どうなるんだという葛藤がプレイヤーの中には少なからずあるハズです。 『彩のラブソング』で「鈴音ちゃんEDはないのか?」と訊かれたスタッフの方が 「だったらフラれてしまった鈴音ちゃんはどうなるんですか?」と言っていたのが 実に印象的でしたが、『MRO』で主人公にフラれる光ちゃんと琴子ちゃんの 話はあくまで本編での華澄さんEDを迎えるシナリオの時の裏話というわけで… 押しは弱いかもしれませんね。あと、『2』の『Substories』で イチイチ癇に障ったのが主人公の鈍感ぶり。『1』のドラマシリーズの主人公は 基本的にヒロインにメロメロで、それがプレイヤーにやる気を与えたと思うんですが、 『Substories』はシラけてしまうほど鈍感でした。 ゲームの構成上やむをえず鈍感になる本編の主人公よりも鈍感に感じました。 『Substories』の場合ある程度話は決まっているのだから それなりの対処法があったやろ、と思うんですが…。 そして、『Substories』で気になった点がもうひとつありました。
<伝説は必要なのか必要ないのか>
ちょっと「『ときめきメモリアル2』ファーストプレイ後の感想」を 読み返してみて、その時にも思ったみたいなんですが、 『2』は本編ではほむらと舞佳さんとゆっきーが、割と伝説のありがたみの無いEDで、 ほむらに至っては「んなもんどーでもいい」とまで言い出す始末でした。 『MRO』ではEDによって主人公が「伝説を信じる」だの「伝説なんかなくったって」だの コロコロ変わる(いやもちろん各々のシナリオ上では変わらんのだろうが)し、 一体どっちやねん、と突っ込みたくなりました。そもそも、この「伝説」は一体何のために 存在したか、なのですが、『1』の「伝説の樹」は、好きな男の子に告白する勇気を 女の子に与えるためにあり(あと「あの人は根性が120もあるわ」とか 「あの人は雑学が120もあるわ」とかも勇気を与えてましたが)、 OPデモでその伝説が語られる程の重要性を帯びていたのですが、 『2』の「伝説の鐘」はもう鳴らないという設定で、OPデモでも実は その伝説については語られず、EDでも「鳴らないハズの鐘が鳴る」というところに ひとつの感動があったようにも思います。つまり、「伝説の樹」は「勇気」の必要性を訴え、 「勇気」を人々に与える役目であったのに対し、「伝説の鐘」は「想う力」の 大切さを訴え、それが「奇跡」を呼ぶことを人々に知らしめるのが役目だったと思います。 『MRO』の光ちゃんEDで光ちゃんが「後輩達のために、自分達は幸せにならないといけない」 みたいなことを言ってましたが、これは『大運動会』でジェシーが言っていた 「勝者の責任を果たしなさい」と似ているといいますか、プロ野球選手になっておきながら 野球を愛しているのかどうかサパリ分からないヤツらには是非言ってやりたいことだと思います。 想う力が奇跡を呼び、奇跡を起こしたからにはそのことを大切にしていかなければならない… 「伝説」は必要だろうが不必要だろうが、そんなもんは問題でなく、要は作っていくものなんだ、 というのが「伝説の鐘」のテーマだったんでないかな、と僕は今思っています。 ただ、必要か不必要なのか、で論議するなら、僕は「んなもんなくてもやってける」と 言い放ったほむらはかっこいいな、と思いました。 『1』の『旅立ちの詩』の詩織さんEDも、最後主人公が卒業式を放棄してまで己の納得する道を 選んだことに(「伝説の樹」の設定上、卒業式を放棄するなど大問題だと思いましたが) 驚きと感動を覚えたもんです(あの競技場が実はきらめき高校のグラウンドで あの樹は伝説の樹だったとか、気を失った主人公を詩織さんが気合で伝説の樹の下まで 連れて行ったとか言われたら話は別ですが)。
<最後に…「やっぱりもったいねぇ」>
『2』全体に関して一番最初に来る感想は、やはり「もったいない」です。 5年かけてラジオドラマやらアニメやら様々に発展していった『1』に対し、 『2』はわずか2年でその幕を閉じる ことになりました(しかもあらかじめ決められていたと思われる)。 もっと広げて、もっときらめき市とひびきの市を融合していって欲しかった、 そう思います。「『1』とそれなりに絡ませよう」、そう決めた時点でもっともっと そうやって良かったんじゃないか、と僕は思います。 前をスパっと斬って新しく始める、『トゥルーラブストーリー』みたいなのも潔くて好きですが、 築き上げた財産を活かしていくのも大事だと思います。 確かに、2年という寿命だったからこそ、本編があの完成度を誇れたんでしょうが… やっぱ、もったいねぇなぁ…。 『3』は果たしてどんな感じになるのか…「絵が萌えない」などすでに様々な意見が ありますが…とりあえず僕は買います。好きだし、このゲーム。

<おまけ・『1』から『2』へ、各キャラの系譜>
『2』を初めてプレーした時からずっとやりたかった企画なんですが、 ようやっとやることが出来ました。どうせなら系譜図とかも作りたかったのですが、 なんかゴチャゴチャになりそうなのでやめました。 つうわけで『2』のどのキャラが『1』のどのキャラの後釜なのか… 極私的かつコジツケ気味な意見ですが、考えてみます。
・早乙女優美+紐緒結奈→赤井ほむら
子供ぶり全開の優美ちゃんと支配階級の閣下、 この二人の流れを汲むのが「遊び大好き生徒会長」赤井ほむらだと思います。 ほむらの子供っぽい(つうかショタっぽいやなどっちかつうと)かわいさと 会長キックの強烈さに落ちた人は男女問わず多いとの噂。
・藤崎詩織→麻生華澄
これはもうまんまですね。完全無欠のスーパーヒロインが大人になったら 華澄さんみたくなるんでしょう。攻略の難しさも共通項。
・伊集院レイ+早乙女優美+紐緒結奈→伊集院メイ
この式で行くとほむらにレイ様を足すとメイちゃんになるわけですが… でもそうですかね。財閥令嬢・子供・支配階級意識。ひょっとしたら 閣下は足さなくてもメイちゃんになるかも。
・鏡魅羅+清川望+虹野沙希→一文字茜
ボーイッシュな爽やかさと家庭的な暖かさ…茜ちゃんはいいですな。 鏡さんはナイスバディぶりを考慮して入れてみました。
・伊集院レイ+片桐彩子→九段下舞佳
片桐さんの爽やかさをそのまま大人にしたのが舞佳さんだと思うんですが、 どうでしょうか?ちなみにレイ様は攻略法が似てるから入れました。
・朝日奈夕子+古式ゆかり→寿美幸
これはちょっとキツイかも…いちおうゆっきーは新しモノ好きで 街に繰り出すのが大好きな娘、という設定だったと思います。それ以上にインパクトのある 出来事がやたら起こってしまうため忘れがちですが…。 危なっかしくてほっとけない、という点では古式さんの血も引いてるんでないかと思います。
・虹野沙希→佐倉楓子
これはねー…確かにこれしかないんやけど、 沙希ちゃんほどの破壊力はデコちゃんには無かったですなぁ。 『MRO』で株が上がったとはいえ、やはり留守電には勝てません…。
・朝日奈夕子+鏡魅羅→白雪真帆
ナイスバディの遊び人。これはもう疑いの余地なしかと。 鏡さんはモチロンそのナイスバディを考慮して入ってます。 実際この二人とは仲がよろしいようです真帆さん。 しかし、この3人が一緒にいるところを想像すると…全ての男子生徒が いろんな意味で非常に困ってしまうトリオだ…。
・如月未緒+古式ゆかり+美樹原愛→白雪美帆
文系おっとりシャイ娘。これも割としっくりくるか。 如月さんほど体弱くないし古式さんほどおっとりしてないし メグちゃんほどシャイじゃないですが、美帆ちゃんは夢見がちという 凄い才能があるので危なっかしさは変わりません。 あと、既にお気づきの方も多いと思いますが、『2』には眼鏡っ娘がいません。 某眼鏡っ娘好きな方が聴いたら「信じられん!!」とか言いそうですが、いません。
・美咲鈴音→野咲すみれ
これは苦しい…というかホンマにイメージなんですが、 すみれちゃんは鈴音ちゃんに近い空気を感じます。 妹みたいなかわいい後輩(っつうかすみれちゃんは後輩じゃありませんが)という雰囲気です。 あと、「咲」繋がりつうことで。
・清川望+館林見晴+藤崎詩織→陽ノ下光
これはしっくりくるじゃろう、スポーツ系の爽やかさと どこまでも一途な心、そして幼馴染属性。 光ちゃんはヒロインとしてはパーペキなくらい誰からも好かれるキャラだと思います。
・古式ゆかり+紐緒結奈→水無月琴子
これは…第一印象はこれでOKでしょう。 大和撫子かつ凛とした、怖さまで感じるキツい物言い。 しかし、琴子ちゃんは実は泣き虫という内面があるゆえ…ムズイ。
・清川望+藤崎詩織→八重花桜梨
これも難しい。花桜梨さんはスタッフの方も言ってらっしゃいましたが 『ときめき』の中ではかなり珍しい、異端なキャラなので全く別の血て感じもします。 いちおう覚醒後のスポーツ系爽やかさと大人ぽさでこのような式にしましたが、 大人ぽさという点では片桐さんや鏡さんでもいいかもしれません。