<誰がために>
『FINAL FANTASYX』(以下『FFX』)のテーマはこれだったと思う。
己を犠牲にしてまで『シン』を倒そうとする召喚士とそのガード達。
どうせ復活する『シン』を、それでもほんの一時の平和のために、
彼らは命を投げ出す。かつて、ヤン・ウェンリーは言った。
「永遠の平和なんてないけれど、それでもわずかな間でも平和な宇宙で
人々が安心して暮らせるなら、戦争を終わらせる意味はある」(*文は正確ではありません)と。
それは確かに大事なことだ。だが、召喚士が世界に平和をもたらすということは、
その召喚士にとってあまりにも過酷な選択を強いるものだった。
僕が薄々「究極召喚てのはひょっとしてアレなんじゃないか」と気が付き始めてから
だいぶたって、ティーダは「その事」を知る。そして、長きに渡って僕が抱いていたモヤモヤは、
最悪の形で晴れることになった。
「うわ、やっぱそうなんや」と。スクウェアには「前科」があった。
『聖剣伝説』1&2、『FF9』など…「クリアすること」これすなわち
「誰かがいなくなってしまうということ」というクリア後の脱力感&号泣度満点なシナリオ…。
中でも『聖剣伝説1』は、ずっとプレイヤーが守ってきたヒロインが最後『マナの樹』となって
世界を救うという「一体オレはなんのために闘ってきたんじゃー!?」と絶望したくなるような
壮絶なラストだった(しかもこのヒロインはNPC、つまり勝手に戦闘で動いてくれるので
本当に「守っている」感じがした。そういえば名前もデフォルトのがなくて
自分でつけれた)。「まさか、これもあんな話か…?」『うしおととら』や『AIR』を
思い出す…。「とらはアレで良かったのか…瓢はアレで良かったのか…」当時、否、
今尚自問自答してしまう、様々な物語の様々な場面を思い出し、
「それがユウナの選んだ道なら…」と納得したフリをして、僕は前進していった
(ゲームだし物語なので立ち止まるわけにはいかないんです)。
「きっと奇跡ってヤツが起こるんや。第一、前もビビがEDでああなってしもたし、
今回は…」などと楽観的に思いながら、僕は話を進めていった…。
<大逆転のシナリオ>
しかし、スクウェアは凄かった…。僕の希望的観測などはるか及ばぬ大逆転シナリオが
用意されていたのだ。ティーダに祈り子が真実を告げた瞬間。
「え?どういうこと…?」僕は頭が混乱した。「これは、ひょっとして…」と思い、
状況を整理する。一時は心中EDまで想像しかけたが、話を進めてとりあえずそれはないと
確信するに至った。究極召喚がスピラから無くなり、ユウナが命を落とすことはなくなったのだ。
だが、新たな真実が急速に迫ってくる。でも、僕はもう冷静だった。
「さすがに二度目の奇跡はないわな」と、吹っ切れた気持ちで、ティーダに苦行の道を
進ませる決意をした。なぜなら、『FFX』はそんな「漢達」の物語だったからである。
<ジェクト、アーロン、ロンゾ族…友情と誇りに散った漢達>
「生きた証」を残すために、戦友ブラスカに全てを託したジェクト。
「無限の可能性」に賭け、先に逝った友の遺言を死して尚守り通したアーロン。
「さあ!!決断の時だ!!」己が止められなかった流れを、次の世代に止めてもらうため、
水先案内人として一行を導いてきたアーロン。「10年待たせたからな」
消え逝く時の、やるべきことを成し遂げた者だけが出来る表情に、涙した。
そして、一族の誇りのため、シーモアに立ち向かっていったロンゾ族。
そのロンゾの心を動かしたのは、ユウナの「スピラが大好きです」という一言だった。
ユウナの純な魂のこもった言葉に、ちゃんと呼応する、実直なロンゾ族に、涙した。
<「思い出して下さい」>
そして。ティーダもまた、役目を終え、去る時が来ました。
ラストバトル前、あくまでも明るく振舞おうとするティーダに、再び泣かされてしまいましたが、
勇気を振り絞って前へ進みました。ユウナの最後の言葉。「いなくなった人のこと、
時々でいいから、思い出して下さい」それが、新しいエボンの教え。
僕らの国にも、似たような習慣がありますね。そう、「お盆」です。
エボン=お盆だった、という最後はヘロヘロなオチで、『FFX』クリア後の感想を
終わらせていただきます。
<余談>
感想本編ではシナリオに着目していろいろ述べさせて頂きましたが、
余談ではゲーム的に見てどうだったかというのを簡単に述べさせていただきます。
まずEDで思ったのが、いつもの曲が無かったことと、『FF11』がネットワークゲームだと
いうことから、「ああ、『FF』はもう9で終わってたんだ」ということ。
そしてそれに対して「別にいいか」と思えてしまう自分がいること。
できればタイトルも変えてほしいんだけど、10もFFとして見なかったら
全然いいゲームだし、多分それは11もそうだと思う。いいゲームなら「FFブランド」で
騙されて買っても別にいいか、と思うようになりました。
戦闘は、中盤以降結構厳しくて楽しかった。もっと苦労したいというマゾな方は
召喚獣使用を禁止すれば十分楽しんで頂けると思います。ていうかバハムート強過ぎ。
『FF』が9で終わっていたとするならば、バハムートはFFシリーズを代表して
『FFX』に殴り込みに来たと考えられて、それはそれで面白いです。
さすが竜王、幻獣神。
今回イチオシの曲は、「素敵だね」は置いておいて、「極北の民」、ガガゼト山の曲です。
これはロンゾ族の曲と言ってもいいと思うのですが、『FF7』の「偉大なる戦士」と同じで、
心に響く曲だと思います。かっこいいというか、ジーンと来るというか。
聴いてるとサビ(と言っていいのでしょうか?)で気がついたら泣いてます。
声優さんについてですが、イサールについてた男の子がくまいもとこさんていうのは
さすがに知ってる人なら誰でも分かると思うんですが(ゲームだと『ときめき2』のほむらが
一番メジャーなのか?)ルールーが夏樹リオさんだったとは…。
ゲームだと『TLS2』の波多野葵、アニメだと『大運動会』のあかりちゃん、だったと
思います。調べりゃ分かるんですがめんどくさいので調べません。
何にせよルールーとは全然違う系統のキャラでして、芸風の幅広さを見せ付けられました。
ていうかスタッフロールまで気が付かなかったっすよ…ファンは分かったのだろうか?
ちなみにワタシはシェリンダの声が長沢美樹さんだとすぐに分かりました…(伊吹マヤ、
吸血姫美夕、沢田璃未と何故か哲のツボキャラの声をしていることが多いので
何時の間にか長沢さんの隠れファンになってしまってたんですハイ)。