日本シリーズ'99

戻る

宴が、始まる…
遂に始まる第50回プロ野球日本選手権。『世界の王』率いる鷹達と、『燃える男・星野』率いる竜達が、激突する。とにかく、今年は読めない。何がどうなるのか。本当に楽しみだ。なにはともあれ、いい試合を。人々に感動を与えられる試合を、期待したい。そして、みんなが、こう思うようなシリーズなら、最高だ。「野球は、面白い」。

第一戦
工藤、秋山。やはり森西武は凄かった。根本さんは偉大だった。野口はやはり、緊張していたのだろうか? とにもかくにも、36歳と25歳の経験の差が出た試合だったと言えよう。工藤は、本当に凄かった。 回を重ねる毎に調子が上がっていった。大舞台でも、淡々と、自分の投球をしていた。「プロ」を、 感じさせた。かっこよさを、見せ付けてくれた。これが、「プロ野球」なのだと、思わせてくれた。 申し分のない投球だった。36歳にして、決め球はほとんど直球だった。圧巻だったのは、8回2死1、2塁。 福留に全て直球を投げ、三振を奪った。この負けん気の強さ。福原よ、学ぶ物があっただろう?藪よ、どうだ? 大野が引退して一年、工藤もまた、大野のように「神」の域へ入ろうとしている。そんな気がした。 それから、ニエベス、いいなあ…。

第二戦
修整できた憲伸と、できなかった若田部。両者の差は、やはり「経験」から来たものではないだろうか? 例えば、「甲子園」という大舞台。例えば、「新人王」というタイトル。例えば、「開幕投手」という 大役。これらは全て、その選手の糧となり、その選手を育てていく。「プライド」を、「プロの自覚」 を育む。今季、8勝に終わった川上だが、チームが負けた次の試合で4勝(1敗)。「男気」、 川上にとてもよく似合う言葉だろう。チームの、仲間の窮地に、燃える男。星野仙一の魂を、最も 色濃く受け継ぐ男。川上は決して、顔に「弱気」な部分を出さない。常に、「なにくそ根性」で 相手打者に向かっている。対して、若田部はどうだったか。これ以上ない、「情けない顔」になっては いなかったか。優勝したからには、力はあるはずなのだ。あと、必要なのは「心」、「精神力」であることを、 我々に教えてくれた1、2戦だった。

第三、四戦
関川、久慈は、ファンの声援があるとダメになる選手なのではないだろうか?すっかり自分を見失っている。 フライでの凡退が多すぎないか?確かに、ホークス投手陣は凄い。永井、星野、篠原の2年生トリオは 本当に素晴らしい。だが、ドラゴンズ打線よ、あまりにも不甲斐なさすぎるのではないか?ホークス打線を 見よ。セントラルNO.1のドラゴンズ投手陣からしっかり点をとってるではないか。もう37歳の 秋山があれだけハツラツとしているのに、ドラゴンズよ、キミ達は何をしているのだ?セントラルのチャンピオンとして、 意地はないのか?頼む、せめて、福岡まで行ってくれ。でなければ、セントラル最下位の、我々が惨めすぎる。 関川、久慈よ、もう、お前達はタイガースの選手ではない。意地を、見せてくれ。

総評
第五戦にして、総評を書かねばならないとは、正直残念である。試合後、ドラゴンズファンの友人達が 口を揃えて言っていた。「ウチはまだまだヘボだ」と。敗因はいろいろあったろう。油断、 プレッシャー、気負い…それらをひっくるめて、ドラゴンズは「ヘボ」だったのだ。友人はさらにこうも 言っていた。「積み重ねてきたものが違った」と。ホークスは工藤、秋山ら森・西武王朝の主力選手は もちろん、他の若手選手達も、アマ時代から様々な経験を積んできていた。福岡ドームに移って7年、 その間、混パに割って入っては敗れたり、首脳陣と選手との確執があったり、首脳陣同士の確執が あったり、球団上部と現場との確執があったり、スパイ疑惑があったりと、苦難の連続だった。 そう、だから、失う物はもう何もなかったとも言えた。積み重ねての結果が、失う物は何もないという 状態だったのだ。これほど凄いことはない。対して、ドラゴンズはどうだったか。立浪の活躍が、 やはり「積み重ねてきたものの凄さ」を証明していたのではないか?
積み重ねることの大切さと大変さ、そしてその結果がもたらす凄さと素晴らしさ、是非、肝に 銘じていたい。そんなことを教えてくれた日本シリーズだった。