敗戦の弁は通常、書く必要がある時は全試合終了後に書いているのですが、今年はちょっと多くなりそうなのでドラゴンズの優勝が決まった今日、序章としてまず書いておきます。


「岩田故障でタイガースは今季もAクラスは厳しそう。ベイスターズ如何では最下位も夢じゃない。真弓政権が短命に終わる可能性は高いと見ます」
開幕前、自分はこう書いた。そんな想いでスタートしたのだから、「ファンとしてそんなんでええのか」と思われるかもしれんが、今季、優勝を諦めたことは何度もあった。これまでは優勝を諦めた段階でタイガース日記は終了ないし休止するようにしていたが、今季はそれでも首位だったりといった状況を受けて、止め時を失っていた(08年にジャイアンツに13ゲーム差を追い付かれて同率首位の状態で止めたことはあったが)。そして何より「それでも勝ってしまう」タイガースの野球が面白かった。止めようと思った直後に何かが起こり、「ああ止めなくて良かった」と思える。そういうシーズンだった。例えそれが今季のセのレベルの低さのおかげだったとしても。Aクラスは無理と思っていたチームがシーズン終盤まで優勝争いをする。こんな幸せで楽しいことはない。

優勝を諦めた時は下記でした。
開幕前 岩田が故障した時
開幕後 繋ぐ意識が皆無の打線を観ていて
5月 能見が故障した時
8月 スタンリッジが故障した時
8月 東京Dで福田や朝井を攻めきれない打線を観て
9月 カープの中田やジオを打てない打線を観て打てない投手のタイプを確信、今後の相手チームのローテを考えて今後打線には期待できないことが分かった時
9月 計算外のハマスタでの三連戦負け越し
9月 ナゴドで連敗
9月 球児まさかの2点差逆転負け
シーズン全般 最下位時代を彷彿とさせる酷い負けっぷりが多い

そしてそんな想いをあっさり払拭してくれた時は下記でした。
4月 マートンまさかの大当たり
4月 救世主西村爆誕
4月 フォッサムまさかの好投
4月 遂に決意の金本スタメン落ち、そこから打線が繋がるように
5月 救世主スタンリッジ爆誕
5月 救世主鶴爆誕
7月 メッセまさかの先発で好投
8月 救世主秋山君爆誕
9月 俊介、上本ら若手が活躍
9月 能見復活に釣られてかこれまで打線におんぶにだっこだった投手陣が打線が落ち目になったところで遂に奮起
9月 遂にブラゼル外しも実行!これが仙一や岡田よりも優れている数少ない点だ真弓采配!

ただのツキかもしれないが、結果的に何度も訪れた逆境を乗り越えてきた真弓采配は、評価されていいと思う。おかげで「岩田と能見が故障してなければ・・・」とはあまり思わなくて済んだ(スタンや秋山君の台頭が無かったと思うとね)。

ただ、逆境を乗り越えたという点では、落合が真弓より数段上手だった。
ドラゴンズも夏場までは苦難の連続だった。昨季二桁勝利を挙げた川井と朝倉が不振で二軍落ち。二枚看板のチェンと吉見も開幕当初は本調子ではなく、この二人が立ち直ったのは交流戦から。そして懸案の三番手以降の先発投手は中田、山井、山本昌、ネルソンを順次使い分けて「誤魔化してきた」と言っても言い過ぎではないだろう。打線は荒木が出遅れ、井端が戦線を離脱、落合監督期待の新外国人セサルは早々に二軍落ちし、昨季本塁打王のブランコも不振。森野と和田が三割を越えても他が二割五分に満たないという時期もあった。当然チーム打率はリーグ最低クラス。しかし、四球はダントツでリーグトップだ。ヒット無しでも点を取りそれを守りきれる野球がそこにはある。春先出遅れた要因としてアライバの二遊間入れ替えを挙げ、落合采配を批判する評論家もいたと聴くが、井端が故障した今、この采配は見事に「先を見据えた采配」だったと言わざるを得ない。多くの選手の不振や故障を乗り越え、「それでも勝てる野球をする」ことを徹底的に磨き上げて作り上げたチーム。その点において、真弓采配は足らなかった部分があった。今季、セントラルリーグは間違いなく近年稀に見るレベルの低さだったが、それでも勝利へ向けて出来る限りの全ての努力を惜しまないことで、ドラゴンズは優勝したと言える。

あとまぁついでに触れておくと今季のセのポイントは結局スワローズだった。開幕前そして開幕直後優勝争いは堅いと思われていたスワローズがデントナ・ガイエルが突如陥った不振から一気に借金19に。その代わりの繰り上がり当選でタイガースが優勝争いに加わった。夏場以降ペナントを面白くしたのも復調したスワローズで、正直夏場以降の戦い方を観るとスワローズの方がタイガースやジャイアンツより強いのは明白。四本柱はドラゴンズの先発ローテをも凌ぐ。運良くタイガースは夏場のスワローズ台風をローテの巡りで回避し続けられたおかげで優勝戦線に踏み止まったが、雨でローテが変わった9月に遂に巻き込まれてしまった。タイガースはまだCS出場を決めていない。M1だが、踏み止まれるかどうか、しっかり見守りたい。