韓国球界から鳴り物入りで千葉ロッテマリーンズ入りしたキム・テギュン。
一年目は苦しむだろうと思われていた。四番を任せるのは酷ではないかという話もあった。そして案の定、開幕当初は日本の配球にキリキリ舞いだった。


しかし、開幕一ヶ月で見事に対応。徐々に打率が上がり始め、開幕二ヶ月経つと今度は本塁打量産体制に。気がつけば打点・本塁打の二冠争いの真っ只中に。
一方、テギュンが成功を収めつつある傍らで、テギュンのハンファ時代の同僚でテギュンと同じく今季から日本へやってきたホークスのイ・ボムホは不振に喘いでいる。いや、韓国球界からやってきた韓国人選手で一年目から活躍した前例はテギュンまでほぼ無かったのだから、これが現実とも言える。

近年、日本へやってきた韓国人野手助っ人の渡日前年、日本一年目、二年目(テギュンとボムホは渡日前年と日本一年目7/4時点)の成績を並べるとこんな感じだ。

リー・ジョンボム



所属試合数打率本塁打打点盗塁
ヘテ97125324307464
D9867283102918
D9912323893324

イ・スンヨプ



所属試合数打率本塁打打点盗塁
三星03131301561447
M0410024014501
M0511726030825

イ・ビョンギュ



所属試合数打率本塁打打点盗塁
LG061202977553
D071322629460
D0810525416651

キム・テギュン


所属試合数打率本塁打打点盗塁
ハンファ099533019620
M107429718700

イ・ボムホ


所属試合数打率本塁打打点盗塁
ハンファ0912628425793
H1034218241


こうして並べて見るとテギュンがいかに凄いかが本当によくわかる。韓国最終年の昨季は故障していたとは言え、95試合で19本塁打・62打点だったのが日本移籍一年目の今季は74試合の時点で既に18本塁打・70打点と成績が上回るのは必至という状況だ。日本に来た韓国人野手が軒並み成績を韓国時代より落としてしまう中、この「韓国最終年よりも上の成績を残す」というのはかなりのインパクトがある。一年目からこの働きなら、スンヨプが日本移籍三年目、ジャイアンツ移籍一年目で残した打率.323、41本塁打、108打点を上回る成績を来年には残せるのではないかという期待を抱かせる。代表レベルで日韓の差はもう無くなったのは周知の事実だろうが、選手個人でここまでやれる選手が現れたことは韓国野球にとって大きな進歩なのではなかろうか?あからさまにメジャーへの腰掛のつもりでやってきたスンヨプと違い、真面目に日本野球へ取り組もうという姿勢が見えるのもテギュンの素晴らしいところだ(これは一重にメジャー帰りの井口の存在も大きいと思うが)。また、岩隈を「一番素晴らしい投手」と称える一方でダルビッシュを「打てないことはない」と言ったりする辺りはテギュンの打者としての負けず嫌いな「本音」が伺える気もして、とても好感が持てる。
首位争いを続けるマリーンズを支える主砲、キム・テギュンの活躍に、今後も注目したい。