「タイガースの今のエースって誰なの?」
井川亡き後、こう訊かれる度に、我々タイガースファンはやや恥ずかしがりながらこう答えなければなりません。
「いちおう、安藤ということになっています・・・」


2006年オフ、井川をメジャーへ売っ払って30億円稼いでホクホクだったタイガースは、空いたエースの座に誰を据えるかという大きな課題に直面していました。
この年、タイガースの先発投手で井川以上の安定感を持っていた投手が二人いました。
一人は安藤(10勝3敗)、もう一人は福原(12勝5敗)。安藤はその前の2005年も11勝5敗と優勝に貢献、星野政権時もセットアッパーとして優勝に貢献する活躍を見せ、実績は充分、一方の福原は暗黒時代にチームの数少ない希望の星として期待されるも、星野政権時は目立った活躍ができず、岡田政権開始後も2004年が10勝15敗、2005年が8勝14敗と、黄金時代を迎えつつあるチームの中で一人暗黒時代を続けていました。2006年の内容を考えると福原だが、総合的な実績では安藤ではないか。なんとなくそんな雰囲気になり、「エース安藤」が誕生した。「俺は安藤がエースなんて認めへんで」とやまちゃんは言ってましたが、その気持ちは多数のタイガースファンが同意するところだったと思います。そもそも井川ですらタイガース晩年は勝負どころで勝てないという点でエースと呼ぶにははばかりがあったというのに、ここに来て安藤て・・・と多くのタイガースファンは思ったに違いないのです。
そして、その想いをあっさりと安藤は体現してくれました。エース安藤元年となった2007年、彼は故障で出遅れて9月までほとんど働かない(3勝2敗)という有様でした。しかも笑うのは、もう一人のエース候補だった福原も同様(2勝8敗)で、この年、タイガース先発投手陣は誰一人規定投球回に達しないというある意味離れ業を成し遂げました。

2008年、崖っぷちで始まった「エース安藤」は、成績的には13勝9敗とチームの勝ち頭の働きを見せます。しかし、ジャイアンツ戦1勝4敗と要所で勝てず大逆転優勝を許す要因ともなり、やはり「エース」とは呼び難い内容だったのです。

そして今年。ここまで安藤は8勝9敗、しかもジャイアンツ・ドラゴンズには未勝利(3試合1敗・3試合3敗)という有様で、今季覚醒した能見(10勝8敗、対ジャイアンツ4勝2敗、ドラゴンズ戦未登板)やWBCで故障して出遅れたものの復帰後は安定した投球をしている岩田(5勝3敗、対ジャイアンツ1試合勝敗無し、対ドラゴンズ2勝1敗)と比べても貢献度という点で圧倒的に劣っていると言わざるをえません(ただ、目下の敵スワローズには4戦全勝と大貢献してますが(笑)。

長々と書いてきましたが、何が言いたいかと言うと、「数字はおろか、印象度でも下回ってるようではエースとは呼べんで」ということで。いやもうホンマ、数字的な話よりも、印象度においてエースと認識されないってのは致命的なんでないかと思いますよ。やっぱ強いチームに勝ってもらわんとなぁ。CSに出たとして、安藤をどう使うか、安藤がどう活躍するかってのは大きなポイントですな。