AIR

駄文へ

出会いは、友人がどうしてもやってくれと勧めるからだった。 元来、私はたまーに選択肢を選ぶ以外はひたすら文章を読むだけの ゲームが嫌いであった。否、今も嫌いである。 だが、その想いを乗り越えてでもやる価値がありそうな気になるほど、 友人達のほとばしる熱いパトスを感じたので、プレーすることを決意した。 「デジコミなんだ、デジコミ。ゲームじゃねえよ、ゲームじゃ」そう自分に 言い聞かせ、私の『AIR』は始まった…。

オープニング
〜センスの良さが光る、珠玉の一撃〜

いきなり度肝を抜かれたのがOPである。「恋愛ゲー」 (私は「ギャルゲー」という呼称は好きでない。『ときめきメモリアル』や 『トゥルーラブストーリー』は「恋愛ゲー」と呼称するようにしている)で ここまで「かっこいい」と思わせるハイセンスなOPは初めて観た。 「これほどのOPが作れるなら、賭けてみる価値がありそうだ」私はさらに 「頑張る」意志を固めた。

佳乃シナリオ
〜妹想いの姉、げに美しきかな姉妹愛〜

初プレーは己の意志のままに動いた。そしたら霧島佳乃シナリオに辿り着いた。 佳乃シナリオは、姉妹愛を描いた、妹持ちの私としては実に感動的な シナリオであった。佳乃の姉、霧島聖、彼女には様々な面で共感するものがある。 「好きな者を残して自分だけさっさと死ぬなんて、わたしは決して許さない」 このセリフが後々このゲームにおいて凄く重たいモノになるなど、その時は 予想だにしなかったが…。最後、佳乃ちゃんに「お母さんみたいだね」と言われて 流した聖さんの涙、それは何よりも美しいと思う。あとは聖さん、 あなたが幸せになる番だ…。おっと、佳乃ちゃんにも触れておかねばなるまい。 佳乃ちゃんはこの作品のヒロイントリオの中でキャラ的には一番お気に入りです。 かわいい妹ってカンジです。戻ってきた時は「偉い!!」と叫んでしまいました。 末永くお幸せに…。

美凪シナリオ
〜にんべんにゆめで「儚い」〜

佳乃シナリオの次にプレーしたのは皆が「金網ぃ金網ぃ」とうるさかった 美凪シナリオ(通称ナギーシナリオ)だった。電波系少女・遠野美凪と 元気満点少女『みちる』、二人が織り成す儚く切ない物語… 『夢』とはなんなのか…実に考えさせられました。 「夢が覚めても、思い出は残るから」『みちる』はそう言いました。 夢が消えても、無くなっても、永遠の別れが来ても…思い出は残る… だから、世の中に無駄なことなどない…自分が笑顔でいようとすれば。 思い出を楽しいものにしようと努力すれば。 だから私はもう泣かない。笑顔で「ばいばい」を言いたい。 そう決意して何度も観返しては、やっぱり泣いてしまうんですがね…。 だいぶ耐久度上がってきましたけど…。やっぱ、これ、演出がうますぎる… 絵の構図、音楽、全て非のうちどころ無しっすわ。『銀色』は名曲です。 『銀色』の明るさが逆にあのシーンでは哀しさを誘います。 素晴らしいコントラストです。こりゃコンシューマーで 声入れるとなったら相当な努力が必要でっせ。頑張ってください。 おっと、話が逸れてしまいましたね。ナギーですよ、ナギー。 夢から覚めて、現実に戻ったナギー。ナギーは現実を生きていきます。 夢を手に入れて、そして失った、現実を。しかし、また新しい夢が出来ました。 その夢を追って生きていくのです。いつかその夢が叶う事を心より願っています。

過去シナリオ
〜全ての始まり、壮大な物語の序曲〜

このシナリオの存在が、『AIR』という作品をそんじょそこらの恋愛物語と 大きく一線を画すものにしていると思う。『AIR』とは、遥か時を越えて続いてきた 壮大な物語であることを、このシナリオでプレイヤーは知る事になる。 母から子へ語り継がれ、受け継がれて行く想い、志。 こういうの大好きです。この時点でもう心の殿堂入り確定ってカンジです。 裏葉最高です。かっこよすぎます。柳也もかっこよすぎます。 そして音楽もこのシナリオは素晴らしすぎます。 『縁』という曲、このゲームで一番好きです。多分、神奈のテーマ曲だと思いますが。 これはゲームどうこう抜きでお気に入りです。 『月童』も同様です。

観鈴シナリオ・エピローグ
〜家族愛・親子愛〜

このシナリオ、感想をどう述べたらいいか分かりません。 言いたいことはたくさんあります。でも、多くを語る必要も無い、とも思います。 最後の数日間、二人は確かに「母娘」でした。 「母親ってのは凄いなあ。母親だけやない。家族や。 うち短い間やったけど、ごっつ凝縮した時間を過ごしたんや。 だから、ようわかる。すごかったんやなあ、家族て。このうえない幸せと、 このうえない辛さ…すべてがそこにある。それはまさしく人が生きる、いうことや。 せやから、うちは生きとった。この二十八年間で一番、生きとった」 この晴子さんのセリフが全てです。 「お母さんは、子供を育ててお母さんになっていく」誰かがそう言ってました。 晴子さんは、確かにあの数日間で何かを得ました。 観鈴ちゃんも、きっと何かを得たと思います。 別れが怖くて、人と付き合う事が、触れ合う事ができなかった二人。 神尾観鈴と神尾晴子。神尾親子が、 あの数日間で得たモノ…それは何よりも大切なモノで…。 だから、私は、僕は、もう泣かない。笑顔で、『AIR』を見送りたい。 そして、旅立つ。時々は帰りたくなるかもしれないけど。 『青空』を聴いて泣きじゃくることもあるだろうけど。 時は流れて行く。だから、僕も、この町を去る。 「幸せな記憶」と共に。「さようなら」の言葉を残して。 願わくば、全ての人に幸せが訪れますように。

ああ、終わったんだなぁ…なんか、淋しいね…。でも、別れを恐れて出会いを 避けてたら、ダメだよね。一番大切なのは、出会いと別れの間に作る「思い出」 だもの。夢・未来・現実・今・思い出・過去…人が生きていくために必要なモノ。 どれが欠けてもいけない。明日も頑張ろう。だからタイガースも頑張って。以上!!